北アルプスの五竜岳に登ってきました。遠見尾根からの日帰りピストン。今シーズン初の本格的な登山。
今年はコロナ禍で山開きも遅かったし、大雨災害に見舞われたり、上高地周辺で群発地震が続いていたりと登山界隈は悪いニュースばかり。そして相変わらずグズグズと天気が悪い!毎日雨降っています。
そんな中ですが、4連休前のこの日に奇跡的に晴れ予報と休日が重なりました。この時期登山することには賛否両論ありますが、長雨で登山道はどうなっているのか、またコロナ禍での登山口や山小屋の状況はどういうものなのかを自分の目で確認するため、山に入ることにしました。
今回選んだのは北アルプス北部エリア、後立山連峰の峻峰「五竜岳」です。ふもとのスキー場からゴンドラリフトで標高1600mまでアクセスでき、山頂までの標高差も1200mほど。コースタイムは往復11時間ですが、7時間で行けると踏みました。
唯一の不安は疲労骨折あけでスタミナが万全でないのと、本格的な山は今シーズン初なので山の足になっていない懸念があることですが、まあ大丈夫でしょう!とにかく、一番重要なのはケガして救助されないこと!安全第一で行ってきました。
ルート、コースタイム
コースは五竜岳から東に延びる大きな尾根「遠見尾根」をたどって山頂を目指すメジャーコース。10年以上前に鹿島槍ヶ岳への縦走で歩いて以来2回目となります。
ご覧の通りかなり早く歩いて予定通り7時間で帰って来れましたが、歩いてるうちに腰が痛くなりかなり苦しみました。腰痛のせいか足が上がらないんだもん。久しぶりの登山はハードで辛かったです。以下、写真とともに当日の模様を振り返ります。
当日の様子
登山口のエイブル白馬五竜スキー場には7時ちょい過ぎに到着。駐車場は4連休前の平日なのでガラガラです。基本的にスキー場の施設なのでトイレや食堂、温泉まである複合レジャー施設です。
ゴンドラリフト「テレキャビン」に乗ります。往復2000円、ゴンドラ降車後にアルプス展望リフト往復セットにすると2400円。始発は平日7時30分、土日は7時です。
8分で標高1500mまで到着。途中ゴンドラがガスの中に入りましたが、ギリギリ雨は降っていません。右手に少し下るとアルプス展望リフトですが、僕は400円ケチってここから歩きます。少し降るのも嫌だったし。
ここは白馬五竜高山植物園になっていて、様々な高山植物を見ることができます。コマクサの群生とか普通にあってびっくり。ちなみに無料です。
高山植物を眺めながらガシガシ登り、リフト終点の地蔵の頭に到着。途中結構辛くてリフト代ケチったことをちょっと後悔しましたが、まだまだ準備運動です。ここから登山道となります。
とはいえ、この先の小遠見山まではハイキングコースになっていることもあり、道はかなり歩きやすく整備されています。木道や階段で安全に歩けるように配慮されていますが、後半はけっこうな斜度を延々と階段が続き、かなり息があがりました。
ゼエゼエいいながら標高2007mの小遠見山に到着。階段の難易度が思いがけず高く、いきなりすげえ疲れましたが、コースタイム1時間30分のところ50分ほどで登ってきたので、まあまあのスピード。さて、ここからが本格的な登山道です。気持ちを引き締めて進みましょう!
登山道は尾根筋に沿ってついており、基本的には平坦で歩きやすいです。が、標高はあまり稼げないんだな。
ゴンドラ駅から5キロ地点の大遠見山には9時10分頃着。ここまで歩きやすい登山道ながら、途中いくつかの小ピークを越えるのにキツイ階段があったりしてそこそこ体力を消耗しました。そして標高は小遠見山から100mくらいしか上がっていないという・・・。
この辺から雪渓や池塘がちょいちょい出てきました。ちなみに天気は小康状態でずっとガスの中で湿度100%みたいな感じでしたが、風もなく涼しくて登山日和な感じ。
遠見尾根は晴れていればこれから向かう五竜や鹿島槍の眺望がいい登山道らしいですが、この日はガスでほとんど見えない。まあ雨さえ降らなければいいかな、と思っていました。
基本安全な登山道なんですが、たまーに崩壊地があったりします。普通に歩けば危険ではありませんが、悪天候時などはちょっとだけ注意が必要。
西遠見山まで来ると、ややガスが晴れてきました。登山道は北に向きを変えて、白岳への登りが始まります。ちなみにここまですれ違った登山者は3名ほど。当然後ろから追い抜かれることも皆無なので、非常に静かな山行です。熊に遭遇するんじゃないかとちょっと怖かったくらい。
白岳への登りで岩場が出てきます。鎖場もありますが、登りでは特に鎖は不要な程度の岩場です。
徐々にガスが晴れて青空が見えてきました。青空の青、ハイマツの緑、雪渓の白のトリコロールはテンション爆上げですわ。稜線に小屋も見えてきました。が、高度を一気に上げるキツイ登りなので息は上がってる。
白岳なんてマイナーな山に興味は無いのでトラバースしたいところですが、登山道は無情にも高巻きなんですね。でもここから小屋の赤い屋根を入れた写真がいい感じです。
ガス湧く稜線、小屋の赤い屋根、青空といい景色なんだこれが。晴れていれば五竜の荒々しい山頂も見えるはずなんですが。
ほどなく、五竜山荘到着。記憶ではボロい山小屋でしたが、今見るとかなり立派な小屋でした。前回来たときは天気悪かったっけな。コロナ禍で大変な中営業していましたが、何となく中には入りずらいですね。
小屋の標高は2600m、山頂まで残り200mです。休憩しないスタイルなんでこのまま一気にピークを目指しますよ!
なおこの日は事前にルートのGPXファイルをダウンロードして、SUNNTOスパルタントレーナーにインポートしておいたので、こんな感じでグラフィカルに表示できます。かなり使い込んでいますがスパルタントレーナーは安くておすすめのGPSウオッチです。
小屋からしばらくは砂礫のトラバースルートです。今までの土付きの登山道から様子が一変します。
更に登って頂上直下では白っぽい岩のアルペン的景観になります。登山道も険しさを増して、鎖場もいくつも出てきます。高度感がある場所もありますが、道はかなりしっかりしているのでそれほど恐怖感はありませんでした。
この大岩を超えれば、そろそろ頂上のはず。
頂上についた!と思ったら、まだ先がありました。いい感じで晴れていますね。
このきれいな三角の先っちょがどうやら頂上ですね。
という訳で、11時10分に無事五竜岳登頂しました。スタートから約3時間半。
正面に剣岳らしき山が見えそうで見えない。山頂は晴れていましたが、周囲の山は雲にさえぎられてよく見えずでした。そして他に登山者はいませんでした。
今回も山と高原地図アプリで記録しました。もうちょっと拡大できるとこのアプリも最高なんですが。
西側はきれいな砂礫の斜面が谷に落ち込んでいる。
鹿島槍もガスの中で、時々猫耳が見え隠れしていました。
山頂には15分位いて、写真撮ったり家族にライン送ったりしていました。ここは少し下ってきて鹿島槍方面への分岐。キレット小屋に泊まって翌日鹿島槍登って扇沢に下山とか最高ですね。
谷を挟んで五竜小屋と唐松岳への縦走路。唐松岳って地味なイメージですけどここから見ると綺麗な山でした。時間があれば白馬岳から縦走してきたいですね。10日くらいかけて槍ヶ岳まで行きたいわ。
小屋まで戻って、お昼にしようかな。お腹も空いてきたし。
と思ったんですが、小屋前にテーブルが1台しか出ていなくて、宿泊するわけでも無いぼくが使うのも申し訳なく、結局白岳山頂付近で大休止しました。コロナのせいで日帰り客は小屋に入りずらいと感じますね。小屋的にはいくらかでもお金使ってもらった方がありがたいんじゃないかと思いますが、何となく迷惑がられるんじゃないかという懸念があります。イメージの問題ですね。
ともあれ、運んできたビールで乾杯。相変わらずの人肌ぬる燗ですが、山で飲むのはルーティンなんでしょうがない。
ビール飲みながら、唐松岳方面をボーっと見ていたんですが、刻々とガスが湧いてくる様子とか本当に荘厳でキレイなんですよね。やっぱり山が好きって感じです。この時間は何物にも代えがたいなって思います。このままテントで宿泊とかだったら最高なんですが、明日も仕事なんで帰ります。
五竜山頂も一瞬見えました。
20分ほど休憩して、仕方なく下山にかかります。下山は正直面倒ですね。
結構下ってきて、遠見尾根から振り返ると稜線が見えていました。
往路ではずっとガスの中でしたが、帰りはそこそこ天気が良くて、振り返ると五竜岳が良く見えました。あと陽が出ると暑い!延々と続く尾根道の下山に、腰痛が出てきて非常につらかったです。
遠見尾根中ほどから見ると、五竜岳のシンボル武田菱がよくわかりました。登山道は反対側に付いてるんですね。
冬の五竜はこれがシンボルです。
長く辛い遠見尾根をヒイヒイ言いながら下って、やっとのことで天狗の頭まで下りてきました。木道が疲れた足にありがたい。
植物園をフラフラと通過し、ゴンドラ駅に帰ってきた。疲れたー。
2時37分下山。スタートから7時間弱、約18キロの道のりでした。
最後に高山植物園の売りであるヒマラヤの青いケシを見て帰りました。
服装・持ち物・行動食
服装はいつものキャプリーンTシャツ、短パン、CW-X。何と15年前も同じTシャツとCW-Xでした。シューズだけはアディダスのローカットシューズに変わっていますが。
ザックはアルティメイトディレクションのファストパック15。
今回パナソニックのGX7を持っていったので、久しぶりにパーゴワークスのフォーカスをたすき掛けしていったんですが、邪魔でしたね。やっぱ腕振りに干渉するとスピードが落ちます。もう少し小さいカメラバッグが欲しい。
行動食はプロテインバー3本、サラダチキン1本、総菜パン1個。プロテインバー1本残して後は全部食べました。いつもは結構残すんですが、今回お腹すきました。
あと水はBCAAドリンク1.5リッター、水500ml、ビール350mlだったんですが、足りなくて困りました。下山で遠見尾根に入るあたりでBCAA1.5リットルが無くなり、水を節約しながら飲んで帰ってきました。もう500mlは必要だった。ちなみに小屋で買うと1L100円です。
まとめ
久しぶりの北アルプスは疲れましたね。登山ってこんなに疲れるんだってちょっと懐かしかった。7時間程度の行動でそれほど長い活動ではないと思うんですが、やっぱり体が山に慣れていないと疲れます。スピードハイク的には大体予想通りの時間で歩けたんで、スタミナがすごく無くなっているという訳ではないですが、あとは慣れかな。
五竜岳日帰りは当初「ゴンドラ利用で標高差1200mだし余裕でしょ」なんて思っていましたが予想外にキツかった。
序盤小遠見山まではハイキングコースだから余裕と思いきや、すげえ長い階段を延々と登らされて一気にヘトヘトになりました。そしてそこから中盤大遠見山までほぼ標高差無しの平行移動ながら、所々にキツイ階段の登りがあって辛い。そして後半白岳への登り、五竜岳への登りと一気に高度を上げていく後半しんどいルートです。所々鎖や岩場もありますが、それよりもルートの長さを感じて疲れる登山道という印象でした。
そして同じコースを帰る訳ですが、歩いても歩いてもゴールに辿り着かなくて疲れました。やっぱピストンは下山で心が折れますね。
五竜は左に鹿島槍、右に唐松岳と登りやすい山があるので、1泊して縦走するのがやっぱりおすすめです。スピードハイクはレジャーではなくトレーニングです。
コロナ禍で様々な活動が自粛を求められている中での登山は、遭難救助のリスクなど自己責任では片づけられない問題もはらんでおり難しい問題です。僕自身絶対遭難しないとも言い切れないので複雑ですが、それでも人が活動する以上何かしらのリスクは負わなければいけないと思うし、正直現在のコロナ対応は過剰すぎるとも思っています。
この問題に結論は出ないと思いますが、僕は今シーズンも可能な限り登山を楽しみたいと思います。安全第一でいってきます。
最後に、2005年に縦走した時の記録があったので貼り付けておきます。恥ずかし!