トレランのロングレース用、またスピードハイク用として、アルティメイトディレクションの「ファストパック15(FASTPACK15)」を買いました。Amazonプライムデーで20%OFFだったので、通常15500円くらいだったものが12,400円くらいでした。まあまあ安かった。
以前からレースベストタイプの大き目を買おう買おうと思って色々調べていたのですが、機能的にも価格的にも僕の求めているものに一番近い製品だったので、これに決めました。
以下、詳しくレビューします。
アルティメイトディレクション FASTPACK15の外観
シンプルな外観。色は落ち着いたグレーで、UDのレース用ベストの鮮やかなカラーとは対照的です。
前面ポケットは上下左右1個ずつ。サイド部にはポケット無しのシンプルな造り。左側上部のジッパー付きポケットが特徴です。ショルダー部はメッシュで、パッドなどは入っていない薄いタイプです。
センターの2か所のストラップは上下に移動できます。
このザックの特徴のひとつですが、メイン収納部の開閉はロールトップとなっています。荷物の量によりロール量を調整でき、少ない荷物でもしっかりとコンプレッションすることができます。
そしてこのザック唯一の欠点ですが、このバックルに表裏があるので、向きが逆だと刺さりません。これはちょっと使いにくいです。
ロールトップを伸ばしたところ。開口部はベルクロで閉じることができます。荷物が超多いときはロールせずにベルクロのみで閉じることもできないことは無いです。
広げるとこのようになります。がばっと大きく開いて荷物を出し入れできます。
メイン収納部には、大き目のハイドレーション用スリーブポケットと、ジッパー付きポケットがあります。
ロールトップと並んで機能上のトピックがこの背面ダブルジッパーです。上下からジッパーを開閉できるので、ロールトップを閉じていてもメイン収納部にアクセスすることができます。ロールトップのバックルが使い辛いのでこれは非常に便利。容易に内部にアクセスできるありがたい機能です。恐らく山行中はほとんどこれを使って内部にアクセスすることになるでしょう。
外側にはジッパーで2つに仕切られた大きめのストレッチポケットがあります。ここにはボトルや三脚、ストックなどの長物、脱いだアウターや濡れたシェルなどなんでも入れることができます。ストレッチポケットなのでかなり嵩張る物でも入っちゃいます。
底部にはマチがあります。
背面には1cmくらいのかなりしっかりしたウレタンパッドが入っています。取り外しはできません。このパッドのおかげでゴツゴツしたものを入れても背負い心地は良好です。前モデルはパッドを取り外すことができたらしいので、軽量化重視の方には評判が良くないようです。僕は快適性重視なので問題無いと思いますが。
登山で実際に使ってみた感想
届いてすぐに燕岳に登る機会があったので、早速実戦投入しました。この時は燕岳に2時間半で登るというまあまあ早いペースでのスピードハイクでした。(コースタイムは5時間くらいだと思う)
この時持って行ったものは、1.5リッターのハイドレーション、フラスク3個<500ml(スポドリ)・250ml(予備で空)・150ml(自作ジェル)>、レインウエア上下、ビール350ml、ウイスキー水割り250ml、補給食いくつか、ペーパー、スマホといったところ。日帰り装備としてはミニマムでしたが、ファストパック15にはかなり余裕をもって収納できました。
購入の決め手となった前面ポケット。機能的に配置されており、特にスマホを収納できるジッパー付きポケットが便利です。僕の理想的な配置です。
左側上部にはジッパー付きポケット。かなり大き目で、ギャラクシーS8は余裕で入ります。iPhone8プラスくらいまでのスマホは余裕で入りますし、マチもあるので大き目のデジカメなんかも入れられます。スマホだけではかなりゆとりがあるので、250mlのフラスクを入れても大丈夫です。
右側上部は500mlフラスクがピッタリ入るボトル用ポケット。僕のようにロングレースはハイドレーション1.5リットル+フラスク500mlの人にはボトルポケット1個が理想の形です。オスプレーのフラスクがピッタリ収まりました。500mlのペットボトルも入りますが、走ると飛び出すかもしれません。胸当たりを考えてもソフトフラスクがベターでしょう。
左側下部ポケットには150mlフラスクで自作ジェルを。
そして右側下部ポケットには小さめジェルやスポーツ羊羹、BCAAなどの補給食を入れました。この下部ポケットは伸縮性があるのでポケットより大き目のものを入れても入りますし、小さいものは押さえてくれるので収まりが大変良いです。
※注・ジッパー部は伸縮性がありませんのでジッパーの巾より大きいものは入りません。小さめのジェルやサプリ類を入れるポケットと考えましょう。
メインコンパートメント内部のジッパー付きポケットには財布やチョコバー、車のキーなどを入れました。背面スリーブにはハイドレーション1.5リットルをセット。このスリーブポケットはかなり大きく、公式動画ではノートPCなど入れている位なので、3リッター程度のハイドレーションバッグも余裕で入ります。
ちなみにハイドレーションのホースはここから出すことができます。
充実の前面ポケットで山行中必要なものが歩きながらすぐに取り出せるのは超便利です。特にスマホ用ポケットはスマホを落とす心配が無いので精神的に楽ですね。
背面パッドが厚めなので背中の当たりも優しいし、荷物が少なくてもロールトップが抑えてくれるので暴れることも無いし、走っても揺れないしとにかく満足できるザックでした。
トレラン使いにはどうか?
燕岳でのテストは主にスピードハイク用途での使用感でしたが、トレランに使うとしたらどうでしょうか。
購入した後白馬国際トレイルランに出場したのですが、準備したらあまりに荷物が少なくてファストパック15ではスカスカになってしまったので、結局白馬では使わなかったのでテストできなかったのですが。
先日槍ヶ岳に日帰りで行ったのですが、その時ある程度走れたのでトレラン使いの使用感を。
結論から言うと、長時間のトレイルランニング用途としては、正直完璧ではありません。「ゆっくり走る」とか、「たまに走ってほとんど歩き」のような使い方では問題ありませんが、ガチで走ろうとすると、広めの背面パッドが腕振りに干渉するので快適ではありません。そしてザック自体の重量が500gほどとそこまで軽いものでは無いので、色々入れて行くと結構重さを感じます。また、体へのフィットという点ではやや甘いので、真面目に走ると結構揺れますね。
タイムを気にするようなトレランレースに使うには、やはりレース専用の軽量タイプをチョイスしたほうが万全と言えます。
ただ、いくつも買えないとか、どちらかと言えば登山用を求めている方にはベストな選択だと思います。
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今安くなっているこちらもおすすめです。似たテイストながらトレラン寄りで、ボトルも付属します。
他のザックとの比較
僕の持っているトレラン用バックパックとサイズを比べてみました。
左が「マウンテンハードウエア フリューイッドレースベスト(3リットル)」、右は「オスプレー ラプター10(10リットル)」です。
アルティメイトディレクション・ファストパック15は幅が広いです。約20リッター入る収納力はこの幅の広さがあるからです。ラプター10は見た目本格ザックなんですが、かなり細いし、ハイドレーション3リッターを収納するとメイン収納部も薄っぺらくなるのであまりモノが入らないのですが、ファストパック15は幅も厚みも余裕があります。(MHWのレースベストはハイドレーションくらいしか入らないので比較できない。)
前面収納も、そもそもオスプレーには収納が無くて不便でした。サイズも小さくて背負い心地もあまり良くないので、これからは子供用ザックになると思います(ハイドレーション3リットルは便利なので外して使うと思いますが)。MHWはショートレースなら抜群の軽快性で利用価値がありますが、やはりこうして比べると小さいですね。こちらはショートレースやトレーニングではまだまだ使っていく予定。
まとめ
50キロ程度のトレランロングレースや、荷物を厳選してのファストハイク用として、非常によくまとまった高機能なバックパックです。
特に、入れようと思えばかなりの荷物を収納できるキャパがありながら、少ない荷物でも揺れないように荷物をしっかりコンプレッションしてくれる造りが秀逸です。ロールトップよく考えられているなあ。
そして外側のストレッチポケットに濡れ物や長尺物、汚れ物などなんでもポンポン入れられるのも非常に便利です。
たくさんの荷物が入るので、超コンパクトなテントやシュラフなど入れてパッキングすることも不可能ではありませんが、ザックとしてはやはりあまり思い荷物を運搬するようには造られていないので、日帰り専用で使うのが正しい使い方だと思います。でも、秋の防寒含めた日帰り装備一式を収納しても、350mlのビール3本とワイン、ウイスキー水割り程度なら収納する余裕は十分あるので、日帰りゆっくり登山でも活躍しそうです(飲みすぎ)。
トップランナーのトレイルラン用としてはやや重く容量が大きいですが、僕のようなビギナートレイルランナーなら丁度いいサイズです。トレラン、ファストハイクに目一杯使い込みたいと思います。