MSX3メモ ~マラソン・トレラン・登山のあれこれ~

アルコールを中和するために走るおっさんが登山やマラソンのことをメモするブログ。マンガゲームウイスキーについても語る!

2023年9月12日・13日 天狗沢からジャンダルム・奥穂高岳・前穂高岳テント泊縦走 穂高連峰はいいぞおじさん「

「やっぱり穂高連峰はいいぞ」

穂高連峰に登ってきました。

岳沢小屋から天狗沢をつめてジャンダルムに登り、奥穂登頂後テント泊、翌日吊尾根経由の前穂登頂、重太郎新道を上高地に下山、というルート。

当初計画では妙高山とか塩見岳なんかの未踏の山に登ろうと思っていましたが、やっぱり夏山で穂高連峰行っときたい!という思いがあったのと、岳沢小屋のブログで天狗沢遭難さらしもん記事が世間を賑わしていたこともあり、天狗沢からジャンダルムというルートは未踏だったので登りたくなりなったという次第。

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あと、「西穂から奥穂」は昨年も歩いたんですが、正直クリアするのに精いっぱいで記憶が不鮮明で「何となく難しかったナァ」みたいな記憶しかないので、どこがどの程度難しいのかを明らかにしたい、という願望もありました。

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難ルートで心配もありましたが、結果的には天候にも恵まれ非常に楽しい登山でした。やっぱり登山はある程度難所を歩いた方が充実感あって楽しい!というのが今回の学びです。今回のコースはかなり楽しい割にあまり登山記録なども無いので、ちょっと詳しめに解説的なことしてみようと思います。

ルート・コースタイムなど

テント装備での登山は7月の双六夏バテ登山依頼で心配でしたが、今回は荷を軽くして行ったこともあり速いペースで歩けました。体調もよく登山を楽しめました。

当日の様子

沢渡始発6時のシャトルバスで上高地入り。登山開始は6時30分。まずは岳沢登山口を目指します。天気はまずまず。

ひとけのない梓川右岸を早足で歩いていたら例によってヤマレコからルート外れ警告が。「またー、んなわけないじゃん」と思って地図見たら、登山口を盛大に通り越していました。300mほど戻って10分タイムロス。

最初は樹林の登山道をひたすら登る。人はあまりいない。岳沢は大体こんなもん。

スタートから1時間40分ほどで岳沢小屋到着。朝飯食ってなかったのでここで軽食休憩して、ヘルメット装備。奥に見える天狗のコルにいざ向かわん!

小屋の左手から天狗沢に向かう。岳沢には何度も来たけどここは初めてのルート。今までここを登ろうなんて考えもしなかった。

天狗沢の下のほうはお花畑になっている。もう終わりかけだけど夏はキレイらしい。

お花畑が終わるとすぐガレ場。ペンキマークを目印に登るけど、ちょっとでもルートを外すと一気に足元が崩れる不安定なルート。ルーファイの能力が試される。

実は最初の方ルートを右側に10mほど外して登ってしまいました。そのまま登り続けると進退窮まるルートだったけど、途中であまりの登りにくさに不安を覚え、何とか正規ルートに復帰したという経緯があります。

落石を起こさないように足元注意しながら、正面に見えるコルを目指してひたすら急斜面を直登する。ふくらはぎへのダメージがデカいぜ…。そして少しでも足の置き場を間違えると、ズザーガラガラ!!って感じで足元の岩が崩れて心配になります。

このトラバース岩の直後、かなりデカい岩を落石させてしまった。ものすごい勢いで転がっていく岩を見て戦慄して立ちつくしました・・・。後ろに人がいなくて本当に良かった。

ペンキマークを目印に、踏み跡をよく見て慎重に登る。稜線は近くに見えてなかなか着かないのは登山あるある。

やっと着いた!天狗のコルには避難小屋跡がありました。ここでしばし休憩。

天狗沢を見下ろす。ここがルートだと言われなければわからない・・・。

一応道標もあります。微妙に方角がずれていてこのあといきなり道を間違える。

飛騨方面には笠ヶ岳が綺麗に見えていました。

コルから少し登って間ノ岳を振り返る。このルートを象徴するギザギザのシルエット。

コルから奥穂方面に向かう道は険しいながらも、天狗沢に比べて足元がしっかりしているので物凄く歩きやすい。全然普通の登山道で危なくはないです。

西穂方面を振り返って。所々切れ落ちていますが慎重に歩けばどってこと無いです。

1時間ほどでジャンダルムまで来ました。こちらから見るジャンダルムはずんぐりむっくりの岩の塊という風情。

奥穂から連なる岩の景色は北アルプスの盟主にふさわしい存在感です。超カッコイイ。

さてジャンダルム登るか。3分くらいで簡単に登れちゃいます。

無事ジャンダルムに登頂しました。1年ぶりですがやっぱりうれしい。ジャンダルムって名前が妙に印象深いし、この天使もいいですよね。山頂で10分ほど休憩して奥穂に向かいますよ。

ここからがこのコースの核心部です。まずはジャンダルムを回りこんでリッジを通過し、正面に見えるロバの耳に向かいます。写真だと「どこ歩くんだ?」って感じますが、確かに難易度は一気に上がりますが、ペンキマークはたくさんだしホールドも安定しているので、慎重に落ち着いて進めばそれほど危険では無いです。

ロバの耳は飛騨側を巻いて通過します。この巻き道は遭難多発地帯で、スッパリ切れ落ちているので落ちたら多分死んじゃいますが、ここもクサリがあるしホールドはしっかりしているのでゆっくりと落ち着いて進みましょう。

奥穂に向けて歩くとここが下りになるのでちょっと怖い&テクニカルですが、この辺まで来ると慣れてきているので夢中で岩に張り付いていれば終わっちゃいます。こういう落ちたら死ぬところでは僕が発見した「ホールド安全の法則」(1か所でもしっかりしたホールドを掴んでいれば安全という法則)を信じて進みましょう。怖いといえば怖いですが、慎重に行けば大丈夫です。

ロバの耳を終えると、立派な岩壁が聳え立ちます。これが通称「ブタの背」です。立派で印象深い岩壁で遠目にはほぼ垂壁なんですが、これも取り付いてしまえばあっさりと登れてしまいます。何となく去年はここが一番の難所だと記憶していたのですが、実際にはこの手前のロバ耳がやっぱり一番の難所ですね。

ブタの背は難易度的には前穂の登りくらいの岩場でした。ただし上からの落石&落石を落とさないように注意です。

振り返ると、ロバの耳を通過する登山者。

上の写真ロバ耳右手に登山者が歩いているの見えますでしょうか。

ここまで来れば残りはわずかです。最後の難所「ウマノセ」を残すのみ。

これですね。ウマノセはいつ見ても本当にフォトジェニックです。

下から見るとこんな感じ。写真では「こんなん登れるのか?」と思いますが、実際には手がかり足掛かりが豊富で見た目ほど怖くない。

素晴らしいリッジ。本当に美しいリッジです。

両側切れ落ちているので落ちたらアウトですが、ホールド安全の法則にしたがえばしっかりと安全なんだなこれが。きちんといい所に手がかりや足の置き場があります。

振り返って。ウマノセの難所はそれほど長くありません。リッジを楽しむつもりでいるとあっという間に終わってしまいます。

もう終わりです。この辺まで来ると逆に終わってしまうのが寂しく感じます。それくらい、ここの岩場通過はスリリングで楽しいです。脳汁ドバドバ感があります。

ウマノセからちょっと歩けば奥穂山頂です。ややガスが出てきました。奥穂でちょっと休憩しましたが、奥穂登頂がオマケに感じるような岩場の充実度でした。

山荘に向けて降ります。

午後1時過ぎに穂高岳山荘到着。今日の行動はこれで終わりなので超嬉しい。しかしいつも思いますがこの石畳とかよく造り上げましたね。今田家すごい。

穂高岳山荘の売店価格。ビールは高いがワイン焼酎はまあまあ安い。買わないけど。

小屋は平日でも結構混雑しているようでした。テントは10張り程度で空いてました。ここは水もフリーだしトイレも近いし、標高高い割に風も結構防いでくれる非常に過ごしやすい高規格キャンプ場です。

午後の時間はダラダラと飲んで過ごす至高のひと時。このために登ってる。今回は軽量化のためにビールは2本だけ持ってきました。後はウイスキーでやり過ごす。

雲が多くて焼けなかったけど、山荘裏手からジャンダルムが綺麗に見えました。

夕方ガスがちょっと晴れて、先日歩いた常念や蝶ヶ岳も見えました。

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日が沈むと、前穂北尾根の向こうに松本・塩尻方面の明かりがよく見えました。

翌朝、4時前にアラームセットしておいたはずが鳴らず、寝坊です。

日の出は5時半頃。雲海に日の出が美しいですが、慌てて準備します。

朝食はカップラーメンと昨日の残りのアルファ米。

5時出発予定が、5時半過ぎてしまった。

まずは奥穂に向かいます。

奥穂に登る途中振り返ると、朝日に照らされた槍ヶ岳が綺麗に見えました。今年は多分槍には行けないけど、来年は登ろう。

一番奥が奥穂山頂。

右手には昨日歩いてきたウマノセ~ロバ耳~ジャンダルムと続く稜線。

雲海の向こうに南アルプスと富士山。

この辺で山頂かな?乗鞍・御嶽方面も綺麗に見えていました。

来年は北穂から大キレット経由で槍ヶ岳に行こう。

南陵の頭。ここから吊尾根を下る。

吊尾根も下りは結構危険です。油断して落ちるとケガじゃ済まないと思う。

前を歩く中国人のお姉さんがフレンドリーで、奥穂から前穂までの間ずっと喋りながら歩きました。なんでも日本在住中国人コミュニティの仲間30人と来てるとのこと。

吊尾根中間部から昨日登った天狗沢を俯瞰。あんな壁みたいなところよく登ったな。この辺で前穂方面から来た欧米人っぽい若い女の子とすれ違いましたが、小さい体に滅茶苦茶重そうなツーリングテントとか持って岩場の通過に難儀していて、大丈夫か?と思いました。

小屋から2時間ほどで紀美子平到着。ここで上高地に下山する中国人お姉さんとはお別れ。ザックデポして前穂に向かいます。

前穂に登るのも2年ぶりくらいですが、毎回思いますがかなり険しい登り。おばさんとか普通に登ってますが、よく登れるなあ。

前穂高岳登頂しました。2年前に長男と登って以来です。長男の大学受験の事を思い出して胸がじんわりします。

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山頂からは相変わらずの絶景ですが、涸沢方面からガスが上がってきました。

山頂を北尾根方面まで行って見ると、ガスの切れ間に涸沢が見えました。

前穂高岳を堪能した後は重太郎新道を下山です。ちなみに重太郎新道とは穂高岳山荘を作った今田重太郎さんが100年くらい前に開いた道です。さっきの紀美子平は登山道整備の間娘さん(紀美子)を遊ばせていた場所です。エモいですね。

重太郎新道上部はすげえ急坂の下りでよく事故も起きているので油断できない。

ちょいちょい休憩適所があります。稜線は涼しかったけど下に降りてくると暑い。

岳沢キャンプ場まで降りてきました。ここまで来ればもう安心です。

岳沢小屋で水を補給しようかと思いましたが、100円ケチってスルー。

小屋から1時間ほどで岳沢登山口まで降りてきました。バスが11時15分なのでそれに間に合うようにハイスピードで降ってきました。道が良くて助かった。

この後バスターミナルまでわき目もふらず歩いて、何とか11時15分発のシャトルバスに乗れました。下山はあっという間だった。

服装・装備など

いつもの服装。今回は暑すぎず寒すぎずこの服装で丁度良かった。ザックもボロいグレゴリーミウォック34で今年こそ買い替えようと思っていましたが、このザックは軽量で背負い心地も悪く無いので壊れるまではこれでいいかな。37リットルでも何とか入るし、やっぱり軽さは正義。

軽量化と新しく買ったスマホのカメラチェックで一眼レフは持っていきませんでしたが、スマホカメラが高性能で正直一眼レフはいらんなあ、って思っちゃいました。超広角もスマホなら簡単に撮れるし。

ヘルメットはモンスターズインクか工事現場っぽくてこういうタイプ使っている人見たことありませんが、まだ使えるしこだわりのアイテムっぽいのでしばらく使う予定。

かかった費用

  • さわんど駐車場 700円×2日=1400円
  • シャトルバス往復 2400円
  • 穂高岳山荘テン場 2000円
  • ガソリン代 1000円くらい

計 約6800円

相変わらず山では何も買わず、手ぬぐいも欲しかったけど我慢して、下山後の温泉も無しでしたが7000円かかった。僕は地元でガソリン代もこの程度ですが、それでも7000円かかっちゃうんだよなあ。上高地行くだけで4000円かかるので仕方ない。年々バスも駐車場も高くなって嫌んなります。

まとめ

行く前は難所通過にすごく不安を感じていました。天狗沢は初めてだし、ジャンダルム以降の稜線の様子もよく覚えていなかったので不安で、遭難したらどうしようととにかく心配でした。

が、行ってみれば非常に楽しい登山体験でした。天狗沢の登りから一気に非現実感が強まって、ジャンダルム、ロバの耳、ウマノセと続く難所にアドレナリン出まくりで、とにかく濃密な登山体験!やっぱり穂高連峰は最高でした。

ただ登山道を歩くよりも、不安定なガレ場を足の置き場を探しながら登ったり、落ちたら死ぬような難所を注意深く進んだり、安全なホールドを探して岩をよじ登ったりする方が100倍楽しいですね。時間も短く感じました。個人的には、危険な中にも楽しさを見出せる稜線の岩登りよりも、むしろ天狗沢のザレザレの直登が精神を不安にさせるという意味で、このコースの核心部だと感じました。

天狗沢からジャンダルム、奥穂前穂は、最短でジャンダルムや奥穂高岳に登頂できるルートとして価値があります。難易度は高めですが、未体験の方はぜひ行って見ることをお勧めします。

なお、楽しい楽しい書いてますがもちろん最低限のスキルは必要ですし、常に最悪を想定して行動しています。初心者が安易に立ち入るべきエリアではないことは最後に申し添えておきます。念のため。