北アルプスの唐松岳に登ってきました。久しぶりの登山、そして久しぶりの雪山です。山スキー以外で雪山に入るのは初めてかもしれません。恐らく3月にアルプスに登るのも初めてだと思います。
3月は時期的にはまだ厳冬期ですが、この日は快晴で気温も高く、ほとんどGWの春山のような陽気でした。天候が崩れると一気に厳しくなるのが雪山ですが、幸い穏やかな天気で楽しく登ることができました。
平日にも関わらず大勢の登山者が山頂を目指していてびっくりしました。
ルート・コースタイム
白馬村中心街の八方尾根スキー場のゲレンデトップにある八方池山荘から、広大な八方尾根を歩いて唐松岳を往復するコース。ゴンドラリフト「アダム」と2本のリフトを利用して、標高1860mまで一気に運んでもらえる楽ちんコースです。比較的に楽に日帰りできる雪山であるが故に登山者に人気なのだと思いますが、平日でもゴンドラ30分待ち、週末だと1時間待ちもザラだそうです。
コース自体は大勢の登山者が歩いているせいかよく踏まれています。降雪直後でなければラッセルも基本不要だと思います。
今回は雪の状態もよく、歩行4時間ほどで往復できました。
当日の様子
ここからは当日の様子を写真で振り返ります。
6時に安曇野の自宅を出発して、白馬着が7時半頃。快晴で白馬三山の絶景が見事。
無料駐車場がいくつもありますが、一番近い所がどこなのかよくわからなかったので、バスターミナル前の一番わかりやすい駐車場に停めました。バスターミナルのトイレ(ウオッシュレット付き)が使えます。ここで装備を整えて、ゴンドラリフト乗り場まで徒歩で向かいます。
駐車場から約10分でゴンドラリフト「アダム」の乗場に到着。チケット売場にはすでに大勢並んでいました。10分ほど並んで「八方アルペンライン」のチケット2980円を購入しました。直前で、長野県民リフト券半額キャンペーンで一日券を買った方が安いことに気付きましたが、時すでに遅し。ちなみにアソビューで割引チケットを購入した場合、春スキー4500円の半額で2250円でした。これは悔しい!
このクーポンは5月末まで使えるので、今後も登山で使うチャンスがありそうです。
さて、20分ほど並んでゴンドラに乗り、その後もリフトを2つ乗り継ぎまして・・・
標高1860mの八方池山荘までほとんど歩かず連れてきてもらいました。リフト代2980円は正直高いですが、この楽さには代えられないなあ。
八方池山荘前では、すでに大勢の登山者が出発の準備をしていました。来るまでは、平日だし登山者誰もいないんじゃないの?くらいに思っていましたが、そんなことありませんでした。こりゃ土日は相当混むんだろうな。
フリースを脱いでベースレイヤーの上にゴアテックスシェルを着て、アイゼン装着して準備完了、さあ出発します。
快晴の雪山を、大勢の登山者が蟻のように登っていく様。僕も続きます。
久しぶりの雪山で、アイゼン歩きに慣れていなくて違和感があります。息も上がりますが、雪は圧雪されて適度に締まって、アイゼンがよく効いてとても歩きやすいです。
八方尾根は広い尾根で、踏み跡はありますが基本的にどこ歩いても大丈夫なので、前後の追い抜きに気を使わなくていいので楽です。
遮るものの無い尾根道で強風を心配しましたが、この日は時々突風が吹きますが、ほぼ無風状態でした。そして日差しが強くて暑い!すぐに汗だくになって、シェルを脱ごうか迷いましたが、ザックを降ろすのが面倒なのでジッパー全開で歩き続けます。
序盤にトイレもあります。目の前には迫力ある不帰ノ嶮(かえらずのけん)。このルートでは終始不帰キレットを見ながら登ります。
そして左手にはボリューム感ある五竜岳と、その奥に猫耳の鹿島槍ヶ岳。雪を纏って荘厳で美しい山々を見ながら歩けるのは幸せなものです。
黙々と歩き、30分ほどで八方池を超えました。こんなに近かったっけ?池はまだすっかり雪の下でした。
八方池を超えると、このルート唯一の樹林帯を通過。ここは幕営適地でテントで泊まる人もいるらしい。
基本的になだらかな尾根道なんですが、所々急斜面が出てきます。アイゼンがよく効くので歩きやすいですが、急斜面の直登はやはり疲れますね。息が上がります。
このルートには広大な尾根で道迷いを防ぐためのケルンがいくつかありますが、最後の丸山ケルンを越えたあたり。道は相変わらず歩きやすい。
稜線が近づくと、尾根は次第に痩せてきます。「両側切れ落ちている」というほどでは無いのであまり怖くはありませんが、雪の状態によっては滑落注意です。
稜線て前の最後の区間はややアルペン的な雰囲気になります。この痩せ尾根っぽい所を超えると・・・
稜線に出ました。夏道だと小屋の横に出ますが、冬道は小屋の上に出るんですね。稜線に出た瞬間、いきなり目に飛び込んでくる剣・立山連峰。相変わらずド迫力ですね~。そして、ここで西からの爆風。ゴウゴウ唸りを上げて風が吹きつけています。
すげえ風にビビりながら、シェルのフードをかぶり手袋もグリセードを装着して完全防備で山頂アタック開始。
途中防風の中アイゼンが外れそうになるアクシデントもありましたが、無事唐松岳に登頂できました。
著者近影。風が強くて痛い。それでも上下ゴアテックスで完全防備していたので安心感ありました。このジャケット2003年に中古で買ったアークテリクスのゴアテックスXCRなんですが、初めてその性能を発揮したと思います。
白馬岳方面。不帰キレットにたっぷりと雪が付いていて怖い。
どうしても剣岳に目が行っちゃいますね。
五竜もかっこいい。奥の方に槍ヶ岳も小さく見えます。
登ってきた道。山頂から見ると雪庇がよくわかりますね。
山頂からは日本海がよく見えました。左手奥には能登半島まで見えたようです。
山頂は暴風で寒いので10分ほど滞在して降りてきました。あとは下るだけなので嬉しい。
この直後、山頂直下から命知らずのボーダーが右手の唐松沢にドロップインしていきました。物凄いスピードで下っていきました。
稜線は風が強くて寒いので、丸山ケルンまで下ってきて大休止です。喉が渇いていたのでビールが超美味かった。今年ベストビールでした。
今回凍ると思ってハイドレーション使わなかったんですが、やっぱりザック下ろさないと水が飲めないのは不便ですね。面倒で雪食べたりして渇きを癒しました。次は袖を通すとか何か考えないと。
ビール飲みながらぼんやりと五竜岳を見ていましたが、こんな季節でもはっきりと登山道がわかりますね。エキスパートが歩いているんですね。
さて、下ります。気温が上がってきて雪はかなり緩んでいますが、相変わらずとても歩きやすかったです。急斜面の下りは結構怖いけど、滑落しても多分大丈夫そうな雪質でした。試しに尻セードやったら結構スピード出て怖かった。
八方池のあたりから振り返って斜面を見ると、朝には無かったたくさんのシュプールができていました。大勢滑ったようです。
斜面を滑り降りたらガラガラ沢に降りていくことになりますが、ここは雪崩のリスクが相当ありそうです。実際唐松沢上部ではデブリも視認しました。今は現在進行形で雪崩れていると思います。ここを滑り降りる勇気は僕には無いです。
ザクザクと歩いて、間もなくゴール。雪が柔らかくて着地の衝撃を吸収してくれるので下山が楽です。スキー以外で雪山を下ったのも久しぶりですが、天気のいい雪山は登りも下りも夏より歩くのが楽ですね。
午後1時20分頃に無事下山しました。安全に帰ってこれてほっとした。終わってみれば4時間ほどの歩行でした。体力的にはまだまだ余裕がありました。
アイゼン外してストックしまって、名残惜しいですが帰ります。非現実世界さよなら。
ゴンドラ降りてから車までのんびり八方の街を歩きましたが、営業していないホテルやおみやげ物屋さんの廃墟っぽい雰囲気と、インバウンドで賑わった外国人向けの英語看板なんかの外国っぽさが入り混じって独特の雰囲気がありました。早くコロナ収束してまた町が賑わうといいですね。
服装・装備など
今回の服装はいつもの山スキー装備と全く同じ。15年物です。
気温が高いと特にオーバーパンツが暑いですが、サイドジッパーで調節しました。
ゴローS8にヤフオクで3000円でゲットしたセミワンタッチアイゼンもいい感じにフィットでした。途中で分解したらどうしようかと思いましたが、大丈夫でした。
ピッケルも持っていきましたが、使わず。
稜線でしか使わなかったけど、それでもグローブは新調してよかった。
服装は天候次第ですが、最悪を想定して用意するべきだと思います。
まとめ
山スキー以外で普通の雪山登山は久しぶりというかほとんど初めてだったので、行く前は色々心配でしたが、結果的に天候にも恵まれてとても楽しい山歩きでした。シンスプリントが心配でしたが、大丈夫でした。唐松岳は北アルプス冬山入門に最適と言われていますが、確かに天気さえよければ比較的容易に山頂に立てるし、雪山の楽しい部分だけを味わうことができると思います。
東京から深夜バスで来ている人も多いようで、平日でも混んでることにびっくりしました。僕なんか天気予報見ながらふらっと来れるので幸せですよね。
最高に楽しかったけど、唯一の苦言はリフト代たけーよってことですかね。あと駐車場は無料で近場に整備してほしい。広いんだからいけるでしょ。
ともあれ、3月に雪山登山できて良かったです。せっかく装備も整えたので、4月には北八ヶ岳あたりに登ろうかな。雪山登山レベルアップ目指します。