
9月の終わり、槍ヶ岳に登りました。新穂高からテント1泊2日。本格的な登山は恐らく今シーズン最後になる予定。
大キレットに行きたい
ワンゲル長男が先日夏合宿で登った槍ヶ岳大キレットを見て、「久しぶりに大キレット行きたい」と思ったのがきっかけ。僕自身槍ヶ岳&大キレットは2020年に西鎌尾根から槍ヶ岳山荘泊で登った時以来5年ぶり。そんなに槍ヶ岳登ってなかったっけ?。大キレットがどのくらい難しかったのか記憶も曖昧だし、再確認したかった。
登山口・ルート
横尾までの水平移動が嫌すぎるのと、新穂高から槍ヶ岳ルートも久しぶりに歩きたかったので飛騨沢ルートに決定。新穂高から槍ヶ岳まで登り、その後南岳まで縦走してテント泊。翌日大キレットを超えて北穂に縦走し、さらに奥穂方面まで進んでから白出ルートを下り、新穂高まで戻る計画としました。白出ルートを歩くの初で、ここの地図を繋げるのも目的でした。
新穂高発で槍ヶ岳と大キレット1泊2日で踏破するにはこのルート設定しかないと思いますが、長距離&標高差も大きく、大キレットと北穂~奥穂という北アルプス屈指の難路を通過するということで、登る前はちゃんと予定通り行けるか心配でした。テント泊装備での難所通過も不安でしたね。

ルート設定で悩んだのが、「千丈分岐から直登するか千丈乗越経由にするか」。昔登った時は飛騨乗越経由だったけど、今回ヤマレコのコースタイムが千丈乗越経由が30分早かったのでそれを信じて西鎌尾根回りにしました。結果的にはこれが正解で、展望が素晴らしいし槍ヶ岳山荘のすぐ横に出るし、しかも思ったより全然急登じゃなかったし。槍ヶ岳で天泊予定の方は飛騨乗越経由でいいかもしれません。
登山の様子
前泊、1日目出発

新穂高スタートということで、今回も前日夜から車中泊です。風呂など済ませて9時頃自宅を出て、新穂高の登山者用無料駐車場に到着したのが22時半頃でしたが、なんとビックリこの時点で駐車場の空きが2台!マジかよ、お盆前の前回ならまだしも、ド平日でもこんなに混んでるの?
前回8月7日は同じ時間でガラガラだったが。あぶねー、あと少し遅かったら鍋平でした。車の中でビール飲んで横になりましたが、この日は夜5回くらいトイレ行きました。なかなか寝付けなかった。翌朝は5時に出発しましたが、トイレや水補充に手間取り歩き始めるのが少し遅くなってしまった。

しばらくは林道歩き。1時間ほどで林道は終わりますが、そこからもあまり登らない登山道が続きます。このルートは白出、チビ谷、滝谷といった沢を横切るコースとなっておりまして、普段は枯沢だったりするんですが、雨天時などは増水して渡れなくなってしまうそうです。何それ怖すぎ。帰れないじゃん。
ルートロスする

ここは滝谷に突き当たった所ですが、ここでルートミスをしました。
「沢を横断する」という意識があったので最初に迷わず直進したのですが、どう見ても渡れる感じじゃないしピンクテープも無い。そこで一度戻って踏み後のある左手に進んだのですが、ここも途中から道が無くなってしまって途方に暮れました。さらにそこに同じように迷っているおじさんがいまして、その人が「こっちで間違いない」とか言うもんだから余計混乱しました。結局落ち着いて地図を見たらどうも逆らしいということがわかって、この地点まで戻ってきて、ピンクリボンのついた正規ルート(右側)の道を発見した次第です。最初にちょっと右見れば気付くんですが、思い込み怖いです。こうやって人は遭難するんだろうな、とか思いました。

タイムロスしましたが、無事渡渉地点発見。しかしこのルート、槍ヶ岳を目指す道の割にはあまり登山者が歩いていない。

8時半頃、槍ヶ岳までの中間地点になる槍平小屋に到着。ここで少し休憩。

水は無料!助かる~。このルートは水が豊富なんですよね。

槍平小屋のテン場。ちょっと川の音がうるさそうだけど良さそうなテン場でした。

槍平小屋から、本格的な登山道になります。とはいえ歩きやすいよく整備された道。そしてこれまでの区間は予報と違ってずっと曇り&小雨みたいな天気だったんですが、近辺から一気にガスが抜けまして・・・

分岐ではご覧のような快晴となりました。すげーいい天気!テンション上がる。そしてこの救急箱のある地点懐かしい。調べたら初槍ヶ岳の2003年以来22年ぶりでした。

分岐は予定通り左の千丈乗越方面に進みまして、30分ほどで西鎌尾根に乗りました。いい道で歩きやすいのは北アルプスメジャールートならではですね。

西鎌尾根の双六方面。素晴らしい稜線ですね。草紅葉も綺麗。

下を見ると、飛騨乗越に続く道がジグザグです。あれはキツそう。

千丈乗越経由はずっと槍ヶ岳を見ながら登れるので気分がいいです。道もあまり急ではなく歩きやすかった。
槍の穂先へ

12時前に槍の肩に到着。ここでザックを下ろして山頂アタックです。

学生グループの後ろについてしまったこともあり、穂先の登りは非常にゆっくり。この後のことも考えて早く登って降りたかったんですが、登りも下りもすごく時間かかりました。ていうか槍ヶ岳周辺の登山者がめちゃくちゃ多い。4方向から集まってきてるんだなー。

12:26、無事槍ヶ岳登頂しました。天気も良くて最高!学生集団は九州大学ワンゲルの皆さんらしく、九州から遠征してきてこの天気で最高だっただろうね。

山頂も混雑していました。そして前の人を追い越せないのでゆっくり下る。

久しぶりの右に傾いた穂先。槍ヶ岳山荘もめっちゃ混雑してました。

小屋から5分ほど行くと槍ヶ岳山荘のテン場。久しぶりに見ましたけど、けっこう広い?30張くらいですぐいっぱいになるイメージでしたが、見た感じ50張くらいいけそうで、実際この日も午後1時でガラガラでした。小ぶりなスペースが多かったかな。
3000m縦走路

さて、この後もまだ今日の予定が続きます。ここまで7時間以上歩いてきて結構披露していますが、まだ3000m峰を3座越えなければ目的地につかないのです。まずは大喰岳3101m。槍ヶ岳の隣じゃなければもっと目立っていたろうに。

この槍ヶ岳から南岳の区間、イメージ的には水平移動なんですが、実際にはエグい登り降りがあります。大喰岳から中岳までも絶望レベルの登り返し。この辺で疲労感がかなりあってしんどかった。

中岳3085m。地味すぎる!槍ヶ岳も小さくなってきた。

この後も冗談かって思うほど下りまして、そして南岳まで登り返し、と・・・。僕登り返しが一番嫌いなんですよね。そして飛騨側からの強風が冷たくなってきました。疲労はピークです。

南岳3032m登頂。今日の登り終わり!

15時過ぎ、今日の宿南岳小屋(テン場)に到着しました。行動時間は約10時間、とっても疲れました~。

奥の飛騨側からの風がまあまあ強いが、風をガードしてくれるサイトを選んでテント設営。やっとゆっくりできる…。

南岳小屋は槍ヶ岳山荘グループの山小屋だけにサービスは充実してます。水も稜線上で貴重だと思いますが、1L100円と良心的な価格でした。

今回軽量化でビールは山小屋で購入しました。テントで飲むビール最高。このために登ってる。

綺麗な夕焼けが笠ヶ岳に沈んでいきました。18時過ぎには就寝。夜はそれほど寒くなかったんですが、どういう訳か全然眠れず。最初に2時間くらい寝て起きたんですが、「寝れない夢」を見て起きたので寝たという実感が無く、全く寝れない、と焦ってしまい更に眠れなくなりました。「このままでは疲労を残してしまい、明日の行程に差しさわりがある」と思ってさらに眠れなくなり困りました。結局寝ては覚めてを繰り返して朝を迎えるのでした…。
2日目

3時半頃から起きだして、朝飯食べてテント撤収して5時出発。天気はいいようです。あまり眠れなかったので体調が心配でしたが、歩き出した感じでは疲労感は無いようです。これならいけそう、と一安心しました。
いよいよ大キレットへ

さて、いきなり難路が始まります。大キレットに向けて落ちるように下ります。朝から長い梯子の下りですが、これからに向けてウオーミングアップです。

大キレットの入口で朝陽。天気は最高です。

いよいよ大キレットの始まり。最初のうちは何てことない尾根道が続きます。

しばらく歩いて、南岳方面振り返る。

小屋から1時間ほどで長谷川ピーク。ここまで前半は普通の登山道でしたが、ここから難易度が一気に上がります。

高度感のあるリッジを鎖頼りに渡る。超ぶっとい鎖が緊張させるけど、落ち着いて進めばまあ問題ありません。この後リッジを信州側から飛騨側に乗り越えるのですが、そこが一番怖い。

長谷川ピークを越えて俯瞰。これはいいキレットだ。

最後の難所飛騨泣き。両側スッパリ切れ落ちていて怖い。

なるべく下を見ないように、ホールド安全の法則(1か所でも安全なホールドを掴んでいれば安心という法則)を信じて進む。強風や雨だと怖いだろうな。

飛騨泣きを超えて、北穂までのキツい登りをクリアしたら大キレット終了。久しぶりの大キレットとても楽しかった。ちなみに指出しグローブで行ったら後日指先の皮が剥けてえらいダメージありました。でも素手が一番信用できるんだよなー。

北穂から槍方面を振り返る。槍からあの稜線を歩いてきたと思うと感慨深いです。そしてここからの景色が一番素晴らしいな。

北穂高岳3106m登頂。気分がよくて北穂高小屋で30分くらい滞在してしまった。

さて、本日の最後の難所に向かいます。

北穂~奥穂間は、大キレットより距離は短いけど、けっこう高度感あって怖いんですよね。なめたらアカン。

しかし穂高連峰は岩だらけだなー。

涸沢岳が壁のようにそそり立っています。涸沢カールから見るとコンパクトで可愛らしい涸沢岳ですが、登るにはなかなか難易度の高い山です。

涸沢槍近く、この垂壁が高度感あって怖いです。落即死なんで慎重に。

この辺が涸沢槍かな?涸沢岳まであとわずかです。

槍ヶ岳もこれで見納め。また来るよ!

涸沢岳登頂3110m登頂。今回最後の3000m峰です。

さあ、あとは降るだけ。

9:25、穂高岳山荘着。難所は超えた。ここも混雑してました。

穂高岳山荘も小屋のすぐ前に水場があり、格安です。全く笠ヶ岳は…

下山前に腹ごしらえ。ここから長い下りです。
白出ルート下山

小屋の裏手に回って、白出下山します。注意喚起の看板。

最初はこんな感じの大岩のガレ場を、わずかなマーキング頼りにひたすら降る。

アビナイヨいただきました。

中間地点の荷継沢まで下ってきました。これで楽になると思ったんですが…。

ここから先樹林帯に入ります。けっこうな急斜面。

樹林を抜けたら沢沿いの道に出て、ここからしばらく急斜面の難易度の高い道。

鎖や梯子の連続で、予想外に怖い道でした。あまり人も歩いてないし落ちたら死ぬ道だし、こんな道があったのか。

ちょっと下の廊下っぽい道でした。

その後しばらく樹林の中を歩いて、やっと林道に合流しました。白出ルート初めて歩きましたが、ここを登りで使うのは僕には無理だと思いました。そして下りももう歩きたくない。最初で最後かな。

林道を小一時間歩いて14時過ぎ、新穂高まで戻りました。下界は暑かった。ひがくの湯で温泉入って帰りました。
服装・防寒対策

9月末で下界でも朝晩かなり冷え込む季節だったので、これまでのような半袖短パンではなく、秋登山スタイルで臨みました。アミアミ・ロングTシャツ・オールフリージャケット、中厚手のロングパンツ。オールフリーは防風バッチリで適度な保温力があり実に名作だと再確認。フーディニの出番は無かった。
夜テント泊で寒かったら嫌だとダウンベストなんかも持っていきましたが、それほど気温が下がらなかったこともあり、ダウンハガー#3でも寒さを感じることはありませんでした。キャンプ時上インサレーションとダウンパンツは着用。9月末の3000m稜線でもこの装備で何とかなることは確認できた。ただこれからの季節は寒いと思います。
まとめ
久しぶりの北アルプス表通り、槍ヶ岳はやっぱり派手でしたね~!とにかく終わった後は楽しい印象しか無いです。派手で楽しかった。
でも、かなり疲れました。距離30キロ以上、標高差3000m以上、一日の行動時間10時間、しかもコースタイムの7~8割で歩いてますからね。50代のオッサンは相当無理してます。
本音を言うと、もっとゆっくりと歩いて山を感じたいというのはあります。槍ヶ岳~南岳間の3000m超の縦走路、ヘトヘトで文句言いながら歩いていましたけど、今思えば素晴らしい縦走路だし、もっと楽しんで歩けばよかった。
槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳、北穂高岳、涸沢岳と3000m以上の山を6座も登れる贅沢な山行。体力がある今だからできるとも言えます。今年の集大成登山、やり切りました。また来年も健康で登山が続けられますように。