11月13日(水)、爺ヶ岳に日帰りで登ってきました。
9月に穂高連峰日帰りやって以降は、マラソンが忙しかったこともあり山に登れていませんでした。「年内にもう1回は山に登っておきたい」とは思っていたものの、なかなかその機会もないまま11月も中旬に差し掛かりまして、里では秋ですが、山では冬になりつつある状況にやきもきしていました。
「雪が降ったら登れなくなる」と焦ってはいましたが、今年は北アルプスの雪が結構遅くて、10月下旬から降ってはいたようですが、日中溶けてしまうのか、常念や爺ヶ岳にほとんど雪が付いていなかったので、「まだ大丈夫だろう」と思っていました。
で、いよいよこの日行けることになり、日帰り可能な山を探しました。楽に行けそうなのは常念・燕・唐松あたりですが、いずれも何度も登っていてあまり楽しみがない。考えた結果、「西穂高岳に登ろう」と思いつきました。他の穂高は何度も登ったけど、そういえば西穂だけまだ登ったこと無いんですよね。
西穂なら上高地から日帰り可能だし、独標から先は岩場で難易度高いっていうけど雪が無ければ問題ないだろうし、よし、行こう!と前日夕方までその気でいたんですが・・・
ライブカメラ見てみたら、槍ヶ岳も南岳も結構な雪!
南岳に雪があって西穂に雪が無いというのはちょっと考えられないので、同じくらい積雪があるとすると、「これはちょっとヤバいかも・・・」と心配になりました。3000m峰だし、どう考えてもトレラン装備に毛が生えたような気楽な格好で行ける感じじゃない。最悪死ぬ。
そんな経緯で、雪があることを想定して、「雪があってもそれほど危険じゃない山」ということで、爺ヶ岳に行くことに決めました。(ここで言う危険じゃないというのは、滑落や雪崩の心配が無いという意味です)天気も良さそうだし、冬山装備じゃなくてもギリ行けるだろうということで、気楽な感じで行ってきました。
ルート・コースタイムなど
立山黒部アルペンルートの長野県側出発点でもある扇沢から入山して、爺ヶ岳をピストンする標準的なルート。標準コースタイムは往復10時間くらいですが、普通に歩けばそんなにかからないので、よっぽど遅い人でなければ十分日帰り可能です。
僕は7時半スタート、ゆっくり休憩して1時40分下山でした。雪が無ければもっと早く帰って来れましたが。
当日の様子
ここからは写真で振り返ります。
早朝自宅を出た時は濃い霧だったんですが、途中で綺麗に晴れました。雲一つない青空で最高なんですが、目指す爺ヶ岳方面は結構雪が・・・大丈夫かな、と不安になります。雪山に登る覚悟なんて全然してきてないんで。
登山口には7時頃着きました。扇沢のターミナルからは少し下ったところに柏原新道の登山口と駐車場がありますが、停められるのは6台くらい。ハイシーズンはまず駐車できません。少し扇沢方面に登ったところに無料駐車場があるので、そこを利用することになります。この日は平日にもかかわらず、5台くらい停まっていました。
気温は多分0度~1度くらいで日影にいると結構寒いです。見上げるとこれから向かう稜線に結構な雪が・・・。まあ、ここまで来たし行くしかない。ダメそうなら戻ろう、と登り始めました。
最初のうちは、よく整備された普通の登山道です。本当に歩きやすい。それでも、体が温まるまではキツイです。何だか体が重く感じます。最近太ってきたし、つくばマラソンまでにダイエットすることをこの時決意しました。
最初のランドマークであるケルンまでは40分ほどで到着。
稜線に目指す種池山荘が見えていますね。まだまだ上にあります。
標高1700mを越えたあたりから、雪が付き始めました。最初は気にならない程度ですが・・・
1800mを超えるとこうなります。所々凍っていて油断すると滑ります。この辺は靴に雪が入らないように気を使っていました。
標高2000mを超えるころには、登山道はすべて雪に埋まりました。ちなみにこの雪はどうやら一昨日降った雪のようで、10cm~20cmほど積もっていました。完全な新雪では無くややモナカですが、普通に踏み抜くのでとても歩きにくい。先行者のトレースがいくつかあるので、それをたどりますが人のトレースって歩きにくいんですよねー。スピードは上がりません。
嫌なところは一か所だけありました。上の写真の部分で、沢をU字型にトラバースする道なんですが、登山道が狭く雪が崩れやすく、滑ったら落ちます。落ちても死にはしないでしょうが、戻ってくるのに苦労しそうで嫌なので、ゆっくり慎重に通過しました。
下を向いて黙々とトレースを追っていたら、視界が開けてきました。間もなく種池山荘です。稜線直下は結構斜度があり、積雪量も増えて歩きにくくキツかったですね。
種池山荘に来るのは10年以上前に五竜からテント泊縦走してきて以来です。あの時は2泊3日で五竜~爺ヶ岳を歩きました。楽しかったなあ。ちなみに小屋はもう営業終了しています。ここでプロテインバー1本補給して3分休憩。
爺ヶ岳を目指します。稜線に出れば風で飛ばされて雪が無いはず!と予想していましたが、むしろ吹きだまって登山道より雪深かったです。特に北側斜面が雪多いですね。
爺ヶ岳は3つの山頂がありまして、左から北峰・中峰・南峰となります。真ん中の中峰が主峰になります。この写真では西側(剣岳方面)から見ています。
安曇野から見るとこんな感じで、まさに「山」って漢字。
一番高い双耳峰が鹿島槍ヶ岳、その右が五竜岳、左にピークが3つあるのが爺ヶ岳ですね。右の方にある3つのピークは白馬三山です。
まずは南峰からアタックしましょう。登山道からちょっと登るとすぐに山頂です。
南峰登頂。良かった。雪が心配でしたが、とりあえず頂に来ることができました。
南峰頂上から見る剣岳の迫力がヤバいですね。とにかくデカい。圧倒的ラスボス感があります。この迫力は写真では伝わらないですが。
引き続き、主峰である中峰へアタックします。南峰から15分位です。雪をズボズボ踏み抜きながら登ります。
10時45分に、無事爺ヶ岳2669mに登頂できました。スタートから約3時間ちょっとで到着。天気は最高で360度の大展望!
まず目に飛び込んでくるのは鹿島槍ヶ岳の美しい双耳峰。特徴的な猫耳で遠くからでも良くわかります。
雪をかぶると一層美しさが増します。美人な猫ちゃんですね。手前に冷池(つべたいけ)山荘が見えます。縦走路は雪に覆われているようですね。
山頂から見るとすぐ近くに見えますが、コースタイムではここからさらに3時間以上かかります。雪があればもっとかかるかもしれません。今回計画段階では、足元が良ければ鹿島槍まで足を延ばそうと思っていましたが、この雪ではとても無理なので今回は見るだけ。来年また来ます。
西を見ると、立山3山と剣岳。雪が付くと本当に美しさが増します。
特に剣岳の存在感が際立ちます。穂高連峰もボリュームのある山ですが、独立峰でこの大きさと険しさは圧倒的ですね。さすが岩と雪の殿堂。2005年に登りましたが、あれからもう15年近く経つのか。早くまた登りたいです。
谷を挟んで針ノ木岳。針ノ木雪渓が良く見えます。2016年に頂上直下のマヤクボカールからスキーで滑りました。
南西の方角に槍・穂高連峰。奥の方に見えるのが乗鞍かな?
八ヶ岳と南アルプスに挟まれて富士山もはっきり見えました。写真だとわかりにくいですが。
大町の市街地もしっかり見えました。町が近い山です。
こんな感じで写真をゆっくり撮って、山頂には15分くらい滞在しました。
その後、種池山荘まで下りて昼食休憩を取りました。持ってきたのが2018年のビールだった。
12時過ぎには下山開始。気温が上がって来て雪が溶け始めていました。靴の中はもうビショ濡れです。
滑落注意の沢のトラバースも何とか越えて、1時40分には無事下山しました。下界は暑かった。
ちなみに山の紅葉は終わっていて、標高700~800m位まで下りてきています。
服装・装備
この時期服装に悩みますが、基本夏山日帰りレイヤリングと同じで行きました。
上はアンダーにパタゴニアのキャプリーン薄地長袖、その上にオールフリージャケット。下はマーモットのトレッキングパンツとゲイター。タイツは無し。パタゴニアのオールフリージャケットは本当に汎用性が高くて、登り始めの汗が噴き出すときでも放湿性が高く蒸れないし、稜線での強風もブロックしてくれるし、ストレッチが良く効いて快適だしで最高ですね。もう1着ほしい。
シューズはこのアディダスのトレラン用で来たっちゃんで苦労しました。ゴアテックスなんですが上からどんどん雪が入るのでめっちゃ濡れました。これから行く人はハイカットシューズとスパッツは必須です。アイゼンもあった方が楽です。
念のために、と久しぶりに持ってきたストックが非常に助かりました。足元が雪で安定しないときに第3の足として。スノーバスケットが付いてないのが残念ですが。
SUNNTOスパルタントレーナーも登山モードで使用。
補給食はプロテインバーを中心に。これプラスコンビニで買ったサラダバーとおにぎり1個。半分は持ち帰りましたが。プロテインを意識して多めに摂ると筋肉痛にならないのでおすすめです。最近のは味も普通にチョコバーです。
まとめ
爺ヶ岳、初めて登りましたがとてもいい山でした。とにかく景色が最高でした。雪が予想以上にあってどうなることかと心配でしたが、天気が良かったこともあり何とか無事に帰って来れました。
これまでしばらくファストハイクで、「いかに長い距離を早く歩けるか」みたいな山行をやっていたので、今回のようにゆっくりとした行程は久しぶりだったので、楽でしたね。それに気持ちも余裕がありました。やっぱり山は時間をしっかり確保して行った方が楽しめますね。
それと、扇沢は車でのアクセスがダントツに楽です。登山口って山の中にあるんで、クネクネ林道を長く運転するのが結構苦痛なんですが、扇沢に関しては普通に一般道走っていると登山口につきますからね。自宅から1時間くらいと近いし、駐車場も無料だし最高。
さて、今シーズンの登山はこれで終了です。主要な登山口がある道路は大体11月末で通行禁止になるし、そもそもこれから山は日に日に雪に閉ざされていきます。これからはエキスパートの領域になります。
それでも今回プチ雪山登山を体験して、僕も本格的に雪山行きたくなりました。厳冬期北アルプスとかは無理ですが、春の北八ヶ岳とか乗鞍とか、山スキーの季節より少し前にテントでも担いで入りたいなと思いました。ハードシェル探そう。
これから山に登る人、気を付けて行ってきてください。